100点と100円

最近、大学院の期末試験を受けたのですが
それをきっかけに、祖母のことを思い出しました。
今回は、その時思ったことをお伝えしたいと思います。


僕の祖父母は、農家で、家の近くに住んでいました。
そして、孫をとても可愛がってくれました。

僕の兄弟は五体満足なので、小さな頃からよく農業を手伝っていました。
その度に、お小遣いをもらっていました。

でも、僕はお手伝いができません。

僕が小学校にあがるとき、祖母がこう言いました。
「100点取ったら、100円あげる」

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(祖母と、5歳当時の佐藤仙務)

小学生にとっての100円は、とても大きな額でした。
100円あれば、いろんなものが買えます。

僕もお小遣いがほしくて、テストを頑張りました。
低学年のときは、そんなに努力しなくても100点が取れました。
でも、高学年、中学生になると、結構努力しないと100点が取れなくなっていきました。
高校生にもなると、ハンパな努力では100点は取れなくなりました。

僕は年齢が高くなるにつれて
「べつに、100円もらえなくてもいいや」と思うようになり
あまり努力をしなくなりました。

数年前に祖母は亡くなったのですが
大学院で修士号を目指すようになり、テストを受けるようになったので
ふと「なんで100点でないと、100円もらえなかったのだろう?」と思い出しました。

そして最近、大学院の期末テストがあったので、
久しぶりに「100点を目指してみよう」と、努力してみました。

そうしたら、なんと!
100点を取ることができました!

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僕は忘れていました。
「1番を目指すために、どれだけ1つのことに真剣に取り組むか」を。

僕は身体障がい者です。
障がい者は「そんなに頑張らなくてもいいよ」と言われやすいのです。

でも、祖母は障がいを抱える僕に
「100点取れるほど努力したら、いいこともあるんだよ」と伝えてくれていたのかな?
と気づきました。

今の世の中、障がい者は「Only One を目指せばいい」と言われています。
これって「1番でなくてもいい」と思う人が多いように思います。

でも「Only One」になりたいのなら、
なんでもいいから得意なことで「1番を取るべき」だと思うんです。


祖母は「100点で100円」から
僕にとても大切な考え方を教えてくれていました。

・自分の「できる」ことで「トップを目指す」大切さ。

・「得意なこと、できること」を自分で探す大切さ。

・一生懸命に努力して、トップを目指す気持ちよさ。

障がい者だから「努力しなくていい」なんてことはない。
障がい者も「トップを目指していい」。

僕はこれからもトップを目指したい。
いろんなことに挑戦してみたい。
一生懸命に。

祖母に伝えたい。
「ありがとう。」

佐藤仙務
(文章:朝倉美保)

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